タリンで過ごしていたある日、僕はエストニアの第2の都市タルトゥへ行ってみたいと思いました。

 

タルトゥは名門タルトゥ大学のある学園都市です。首都タリンから車で南東およそ190キロの場所にあります。

タルトゥに行きたいと思った理由

タルトゥに行こうと思った理由で、一番大きかったのはこのTEDx Tokyo 2013で行われた大平貴之さんのスピーチを見たことです。

大平さんはプラネタリウムの映写装置を飛躍的に進歩させたエンジニアで、それまでのプラネタリウムでは見えなかった星を映し出すことに成功した方です。それまでのプラネタリウムが映し出せた星の数は6000〜9000個だったのだそうですが、大平さんが作ったプラネタリウム「メガスター」が映し出した星の数はなんと2200万個(!)だそうです。ざっくり計算しても数千倍です。これはすごいですね・・・

 

↑開発に至ったストーリーそのものもかなり面白いプレゼン。是非見てみてくださいね。

このプレゼンを初めて見た時は「世の中すごい方がいるものなのだな〜」とその心意気や熱意に感心していました。

そして大平さんのプラネタリウム映写機「メガスター」についてネットで情報を探っていると、なんとタルトゥの科学博物館 AHHAA(アハー)にメガスターのプラネタリウムがあるとの情報をキャッチしました。

「それじゃあ是非行かねば。」

 

電車に乗ってタルトゥへ

タリンからタルトゥへの行き方は以下の記事を御覧ください。

首都タリンからエストニア国内各地への格安な交通機関(エストニア国内で長距離バスや電車に乗る方法)

 

初めてのタルトゥ行きは電車でした。電車に乗ると僕は座席表のとおり、6人のボックス席に座りました。

ボックス席に座っていたのは僕を含めて4人。席を通してもらう時にニコッと微笑みかけてきたビジネスマン風のエストニア人の青年と親子連れの3人でした。小さな男の子はとても興味深そうに僕の顔を見て、こちらが笑うと向こうもニコっと笑顔を返してくれました。

一方40代ぐらいのお母さんの方は僕には目もくれませんでした。これは、エストニアでは、とてもよくあることなので、エストニア、特にタリンに住む外国人には慣れっこです。このエストニア人の「外国人と触れ合わない」という性格は特に年齢が上になればなるほど顕著だと思います。

この一見フレンドリーに見えない振る舞いは、一つには、エストニア人のその悲劇の歴史からくる民族性によるものです。特にソビエト時代を経験しているエストニア人にはよくあることで、独立までの過去数百年にも及ぶ他国への従属の歴史がそうさせているのだと思います。十字軍の時代から第二次世界大戦、そしてソビエト時代に至るまで、悲しいことにそのほとんどが大国にひどい目に合わされてきた歴史です。(ロシア革命直後に国として独立していた時代がありましたがすぐにソビエトに編入されました)

ただ、もちろん過去の歴史だけではなくてエストニア人特有のおだやか過ぎる性格も手伝っていると私は強く思います。

エストニア人の「静かで穏やかな性格」について詳しくは Storys.jpに投稿したこちらの記事をお読みください。

 

エストニア人に会ってわかった、エストニア人の「可愛い」性格/僕は「ムーミン遺伝子」を発見した。

https://storys.jp/story/23302

 

ともかく、電車に乗ること2時間ちょっと、電車に乗った僕はタルトゥに到着しました。

 

タルトゥに到着

タルトゥを流れるエマユギ川

タルトゥに着いた第一印象は「タリンよりさらに落ち着いた街だなあ」という印象でした。

タルトゥの町並みとその間を流れるエマユギ川

エストニアらしい、とても静かな川でした。

 

 

川沿いを歩いて行くとソビエト的なレトロフューチャーな建物が見えてきました。

お、おおー、正面から見ると戦後の万博とかオリンピックのパピリオンの建物を彷彿とさせるようなさせないような。

反対側からもパシャリ。どうやらここはレストランのようです。夜はクラブになるとか。

 

エストニアらしい、本当に素朴な川

 

ラエコヤ広場(市庁舎広場)のインスタ映えスポット

タリンにもありましたが市庁舎を意味する「ラエコヤ広場」です。やっぱり市庁舎広場がその街の中心なんですね。

タルトゥのラエコヤ広場、ナショナルジオグラフィックのあの黄色い枠があります。南エストニアにはこのナショナルジオグラフィックの黄色い枠が計21ヶ所あるらしく、「インスタ映え」する場所にしようと観光向けにアピールしているそうです。

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寄って撮ってみましたが、どうでしょう? なかなか良い感じ?

 

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11 Oct.

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実際にインスタで撮ってみましたよっと。後ろの市庁舎は全く入ってないけど、むしろこの枠だけでインスタ映えしますします!

ちなみにこのブログで載せるエストニアの写真はほとんど加工していません。暗い場所は暗いままです。リアルなエストニアを感じてもらいたいのでそのままにしています。

 

AHHAA(科学館アハー)

冒頭に書いたお目当てのプラネタリウムがある場所はここです。アハーはエストニア最大かつバルト三国最大の科学館で、結構大きな建物です。AHHAAは何かの頭文字の略語なのかなと思いましたが、公式サイトをみるとどうやらそのまま「アハ!」という意味だそうです。科学の知識を通して人々に「アハ体験」をしてもらいたいという趣旨の施設だそうです。

プラネタリウムしか今回は見なかったのですが、建物の中は日本にもある「科学技術館」のような感じです。特に身体を動かして装置を動かす系のアクティビティが多かったです。

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今から大平さんのメガスター見ます

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プラネタリウムは意外とこじんまりとした部屋でしたが、この施設の目玉でもあるようでした。プラネタリウム自体はとても面白く、高精細でした。

しかし世界に目を向け、はるばる日本から技術者を探してきて作ろうというこの力の入れようから、エストニアが教育に賭ける思いが伝わってくるような気がします。

 

タルトゥをまだまだ散策

タルトゥをまだまだ散策します。これはラエコヤ広場を反対側から見た様子です。結構広くて縦に長い。タリンのラエコヤ広場はもっと正方形ですが、ここはとても長い長方形ですね。ちなみに左右写っている建物においしいチョコレート屋さんがありました。

ラエコヤ広場のワンショット。背後に見える可愛らしいピンクの壁と抱き合う男女の像に手前のお婆さんが映えます。

 

ストリート

 

地面にある石版には「タウンホール」と書かれています。

 

また出てきた熱狂的に抱き合い続けるカップルの像。エストニアもヨーロッパなので、公の場でも普通にカップルがものすごくイチャイチャしています。

 

上から水が出てたんですね・・・「愛は悪天候に勝る」みたいな(笑)

 

リア充だなあと思いつつも、やっぱりタルトゥではこの銅像が一番目に印象に残ります。もう君たちが優勝でいいよ。ハイ優勝。

 

こんな壁画もあるんですよねえ。

 

タルトゥの主要な場所を案内する標識

 

名門 タルトゥ大学

タルトゥと言えばここ、タルトゥ大学です。タリン大学より伝統ある大学だそうです。言ってみれば京都大学みたいな感じです。

そして中を見学させてもらいました。

講堂

最上階にある懲罰房。ルールを破った学生が入れられていたそうです。壁に残る落書きがすごい。17世紀からある年季の入った落書きです。

 

路地裏

レンガ作りの壁に裏口があります

 

レンガ造りの教会

 

年季の入った建物

年季の入った自転車

悲劇の記憶 KGB収容所博物館

エストニアと言えば忘れてはならないのがソ連時代の抑圧です。エストニア国民は歴史的に抑圧されてきたと書きましたが、直近ではソビエト時代が正にそうです。

うめき声の聞こえる廊下を抜けると・・・(スピーカーで流れています)

 

廊下の奥でKGBの看守がお出迎え

 

独房(懲罰房かもしれません)

 

全体の見取り図

 

拷問椅子だと思います

 

囚えられた人々の悲惨な生活について書かれています

 

実際に使われた拷問器具

 

酷いものです。日本では、悲劇の歴史は1945年に幕を閉じ、その後平和な時代が続いていましたが、エストニアや旧ソ連の衛星国はこれが1990年ごろまで続いていた訳です。日本がバブルだった最中にこれが起こっていたと考えると恐ろしいことです。つい最近までこういう歴史があったので独立はエストニアにとって物凄く大きな意味を持ちますし、今のエストニア人の考え方にもダイレクトに繋がっている訳です。こういうものを見ると国や民族ごとにそれぞれ異なる困難があると言うことを身をもって知り、色々考えてしまいますね。

 

帰りのバスに乗る前にまだまだ散策

豚が居ました。

何なのでしょうか鎮座するこの豚は?

何か書いてありますが、読めません。どうやら「食べられる生き物にもっと感謝しろ」みたいなことが書かれているようです。

肉の部位が書いてあるようです。

 

生き物に対する感謝とか謝罪の念を忘れないようにこれを目立つところに作ったのかもしれません。

動物好きなエストニア人っぽいとも言えます。ちなみにタルトゥはエストニア国内では有名な農業地帯でもあるようです。

 

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街中にあったきれいな木を見て

 

この地域ではおなじみのコーヒー味の飲むケフィアをスーパーで買って(いろいろな味があります。濃厚だけど1本100円ぐらい)

 

バスターミナルに着きました。タルトゥにお別れです。

ここのトイレで地元のおじさんがウォッカを一気飲みして見せてくれました。そういえばここで会ったある人は「タリン人よりタルトゥ人の方がフレンドリーだ」と言っていました。実際に僕もタリンではめったに人と目があったことはないけど、タルトゥでは何回か歩いている人と目が合いました。その後ヨーロッパの色んな国を訪れると首都の人よりもその国の第二の都市の人の方が外国人である僕にも声をかけてくることが多かったのに気づきました。やっぱりどこの国でも首都は人がドライになってしまう力が働いているようです。(ただベルリンは別でしたが。)

そんな風なことをぼんやり思いながら、バスでタルトゥを後にしました。

タルトゥにはこの後カウチサーフィン(無料で家に泊めていただくウェブサービス)で行くことになりますが、その話はまたの機会に。

 

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