エストニアの冬は極寒
とうとうエストニアに真冬がやってきました。
日本の本州、それも大阪で生まれ育った私にとって、エストニアの冬は極寒地獄そのものでした。
秋が終わり冬が来ると日照時間の短さと同時に、悪魔のような寒さが容赦なく私に襲いかかって来たのです!
マイナス4度。まだ予行練習
マイナス6度、これはまだジャブ。
とうとうマイナス10度を超えました。
そして・・・
ついにマイナス22度になってしまいました。
ここまで来るともう寒いとかそういうレベルではありません。300m先のスーパーに行くだけでもさながらエクストリームスポーツの様相を呈してきます。身体表面の全ての水分が凍ります。特に鼻の穴が凍ってバキバキになっていきます。
こんなマイナス22度の状態でも、私は近所のスーパーに買い物に行きました。
実はエストニアは人口密度が世界トップレベルで低いので、首都のタリンでも夜間だと歩いている人がほとんど居ません。
つまりこの極寒のなか例えスーパーに買物に行くだけだとしても、仮に途中で倒れて誰にも見つからなければそのまま凍死してしまうということが余裕で起こりえるということです。マイナス20度を超える世界では、日常生活の延長線上に死が口を開けて待っているのです。
でもマイナス22度で外歩いても死ななかった。
驚いたことに、マイナス22度で外を出歩いても僕は生きていました。傷一つついていません。マイナス22度の中、近所のスーパーに行っても僕は大丈夫だったのです!
極寒の中歩いて行った近所のショッピングモール “Kristine Keskus”のストリートビュー。ちなみにこのストリートビューは私が作りました。みなさんもストリートビューのアプリをダウンロードしてまだ日の目を浴びていない場所を世界に向けてアップロードしましょう。
(エストニア語で”Keskus ケスクス”は”センター”という意味です。よく目にする単語なので行かれる方は覚えておくと楽しいですよ。)
慣れてきたので調子にのる
慣れてくると人間の身体がどこまで耐えられるのか実験してみたくなるものです。そこで、マイナス20度の中、ダウンジャケットにロングTシャツ1枚で先程のショッピングモールまで行ってみました。
結果、全然余裕。往復600mぐらいなら、全然余裕。
慣れとは恐ろしいものです。瀬戸内気候の温暖な環境で育った僕が、マイナス20度の極寒の中でも、いざとなったらスーパーに食料を買いに行けるのですから。
エストニアではマイナス22度でも室内に居れば余裕のよっちゃん
エストニアは寒いので部屋が熱を逃がさない構造になっています。基本的に窓がとても小さく2重窓です。しかも僕が住んでいた部屋には電気式で調節可能な床暖房がありました。そういえばエストニアでは電気で作動する換気扇というものをほとんど見たことがありません。小さい換気口はありますが、それも積極的に空気を吸い出して出すようなものではありません。壁の天井付近についたただの穴です。きっと空気をきれいにすることよりも熱が逃げないことを優先しているのでしょう。
雪国といえばこれ、電気式床暖房のコントローラ。いちど最大の30度に設定していたら家主に「電気代で破産しちゃうよ。」と笑われました。
ていうか外気温と室内温度の差が40度以上って、すごいな・・・
サウナに入ればさらに余裕度は高まる。
なんと私の滞在していた家にはエストニア式のサウナがありました。やっぱり寒い国といえばコレ。
一気にサウナ室の温度を90度まで上げていきます。
家主が1から自作したサウナ室。本格的すぎない?
室内が90度(もちろん摂氏)なので、外気温マイナス20度との差は「110度」となった。そんなことが起こりうるのか。起こりうるのである。サウナで温まったら、90度からいきなりマイナス20度の屋外に裸で出ても死なない。110度の気温差があっても人間は屁でもなく生きられるのだ。
結論:人間はマイナス22度でも90度でも、割りとどこに行っても生きられる
110度の温度差でもビクともしないなら、人間は割と世界中どこに行っても生きられるのではないか?と自信がついたエストニアの極寒の冬でした。
タリンの冬の終わり
その後、エストニアの極寒の季節も終わりを告げました。そして気温が初めて0度を上回った日、それまで静かだった家の外から突然鳥の鳴き声が聞こえました。海の香りがしました。もしや!と思って庭に出てみました。
やっぱり!それは海鳥でした。
0度を上回ると、そのことをまるで温度計で測ったかのように海鳥たちがタリンに戻ってきていたのです。寒い間、ずっと南方かどこかの温かい国にでも行っていたんでしょうか?
タリン上空を飛ぶ海鳥の群れが冬の終わりを知らせてくれました。
フィンランド湾を望むタリン北部のピリタビーチ。海鳥が飛んでいる。(撮った写真に油彩フィルター)
おまけ ガラスの水たまり
エストニアで気温が氷点下になりだした初冬の映像です。気候のせいなのか、水の質のせいなのか、空気のせいなのかわかりませんが、街中の水たまりがまるでガラスのようにパリパリになっています。最初割れた水たまりを見て、ガラス片が散らばっているのかと思ったほどです。大阪に居た時は寒い日でもこんな凍り方をしたのは見たことがありません。なかなか面白い体験でした。音もすごいので是非映像でごらんください。
おまけ2 エストニアなら寒すぎて車で海を渡って島まで行ける
実はエストニアの冬は寒すぎて、場所によっては、マイナス30度になることもあるそうです。そのぐらいの気温になると、海が凍りつき、なんと車に乗ったまま凍った海を超えて隣の島まで行けるそうです。
エストニアの西側のバルト海に浮かぶ2つの島。ヒーウマーとサーレマー。真冬になると、ここらへんが凍って車で行けます。
チャイコフスキーも来て作曲したことのある景勝地ハープサルからバルト海を望む。ここも冬は凍るのでしょうね。
(おわり)
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