>本物のムーミンのような性格の人は、経済的に発展したフィンランドにはもういません。エストニアにはまだたくさん居ます。本物のムーミン魂を感じたいならエストニアだと僕は思います。
こんにちは。加藤です。
今回はエストニア人の「まるで現代に生きるムーミンのような」その素朴で寡黙な性格について皆さんに知ってもらいたいと思います。
冒頭の一文は前回の記事を書いていて思い出したエストニア人の印象です。
エストニア人は本当に大人しい性格です。僕はあんなに寡黙な人たちに人生で出会ったことがありませんでした。
一般的に日本人は世界でも静かな民族だと言われます。
よく海外留学に行った人が日本に帰ってくると、とてもフレンドリーで外交的な性格になっていることがあります。そういうコミュニケーションに積極的で開放的な性格のことを「日本人離れした」と形容することもあります。
なので僕も日本人は世界でもトップレベルに静かな民族だと思っていました。
−エストニアに行くまでは。
エストニア人の物静かさは日本人を超えている
エストニアに行く前に乗り継ぎでフィンランドのヘルシンキ空港に降り立った時、近くを歩く男性が僕の落とし物を渡してくれたり、店員さんが支払いの時にマニュアル的でない一言ふたことを添えてくれたり、「ああ自分は外国に来たのだなあ」と実感したものでした。
ところがエストニアに行ってみるとその感覚は見事に打ち砕かれました。
エストニアに行くと予想以上にみんな静かなのです。ヘルシンキ空港で感じた買い物の時の気の利いた一言とかそういった言葉も稀にしかありません。
みんな必要最小限の言葉しか話しません。
でも社交的で無いという訳でもありません。笑顔になる時は笑顔を見せます。
その笑顔は1秒遅れですが(笑)
控えめなエストニア人は笑うのが1秒遅い
大人しいエストニア人と話していて驚いたことでみんなでは無いのですが「感情の表出が1秒遅れる」人がよく居ます。
例えば、僕とエストニア人が話していて、笑い話になると、こっちが笑っていても相手のエストニア人は無表情だったりすることがあります。
その無表情を見て僕は一瞬「あれ?この話面白くなかったかな?」と心配になるのですが、わずか1秒後には「とても柔らかな微笑み」が表れます。
これは隣国のラトビア人やフィンランド人には見られなかった現象で、エストニア人独特の性格形態だと僕は思います。
僕は初めてエストニア人の「1秒遅れた微笑み」を見た時「わあ何だこの笑い方は、かわいいな。」と思ったのを覚えています。
なのでエストニア人は基本的にムーミンの登場人物のようにかわいい性格の人たちだと思います。
かわいいのは女性とか子供だけでなくて、大人の男性でもです。
軍人や警察でも可愛らしいエストニア人
かわいい軍人
タリンのスタジアム「ア・ル・コック・アレーナ」の座席から。 ア・ル・コックはエストニアを代表するビール会社
ある時サッカーW杯の予選の試合をタリンのア・ル・コック・アレーナというスタジアムに見に行きました。
エストニアとリトアニアの対決で、試合はエストニアが勝ちました。
勝利の喜びに包まれる試合が終わった後、近くの観覧席に軍服を着た若い軍人がたくさん座っていることに気が付きました。
その後、スタジアムの外に出るとさきほどの軍人の人たちがまさにこれから整列を始めるところでした。
その整列の様子が、なんというかみんな動きがフワフワしているのです。
軍隊といえばどこの国でもとてもキビキビと動いていて、見ているだけで緊張感が伝わってくることが多いと思います。
ところがその時に見たエストニアの軍隊の人たちは動きとてもフワフワしていて、まるでムーミン谷から来た軍隊のようでした。
もちろん軍隊なので動きは素早いですしし規律も取れているのですが、どういうわけかエストニア人特有のフワフワ感が彼らから溢れ出ています。
「フフフ・・・かわいいやつめ・・・」
僕は軍人さんたちを見ながら思わずこんなことを口走ってしまいました。
そしてそんな可愛い人たちが居るエストニアのことをもっと知りたくなりました。
かわいい警察
※イメージ画像
夜中タリンの家の近くを歩いている時に、パトカーが後ろから近づいて来ました。
僕が振り返ると警官の顔から明らかに驚きの表情が見て取れました。
まさか声をかけた相手が外国人、しかも遠く離れた東洋人だとは思っていなかったのでしょうか。
やましいことは無いのでパスポートを渡して調べてもらいました。
声をかけて来た時はエストニア語でしたが、いつの間にか英語になっていました。
2人のうち片方の女性警官が僕のパスポートをパラパラとめくっていましたが、どう見ても内容を見ていません。
どうみても焦っているように見えます
なぜ(笑)
ある意味ここは日本でも同じかも知れません。日本人だと思って声を掛けたのが、振り返ると言葉も通じるか分からない外国人だったら焦る人は多いでしょう。
タリンは小国と言ってもEUに所属する国の首都なので国際的で外国人もたくさん住んでいますし、ロシア系住民も昔からたくさん居るのですが。
やはり振り返ったその顔が東洋人だというのは完全な予想外だったのでしょうね。
いずれにしてもそこで僕が思ったのは
「フフフ・・・かわいいやつめ・・・」
でした。またしても。
警察の公的機関に書類を申請しに行った時のかわいい審査官
エストニアには E-residency という電子住民制度があります。
外国人でもこのカードを取得すれば、エストニア国内で起業がしやすくなったり、各種手続きがエストニア国外からネットで出来るようになったりします。
E-residency はこのような斬新な制度だったので世界中から注目を集めました。
せっかくE-residencyの本場に来たので自分もカード取得しようと思い機関に申請しに行きました。
建物に着くと想像していたよりもピリピリした雰囲気が漂っていました。
まるで国境の入国審査みたいに誰も笑っていません。
いつもは感じるフワフワしたエストニア人の感じもありませんでした。
かなり厳格なプロセスなのかもしれないと緊張しながら、呼ばれたブースに行きました。
審査官は中年の女性でした。
審査官の質問が始まりました。僕は粗相があってはいけないと思い、慎重にひとつずつ答えて行きました。
その時、審査官のパソコンに接続されていた周辺機器が外れ、デスクを落ちて転がっていきました。
途端、審査官が少女のように笑いだしたのです。
その柔らかな微笑みは、まるでムーミンに出てきた少女ノンノン(フローレン)のようです。
さっきまでピリピリした雰囲気を醸し出してたのに、笑っちゃって良いのでしょうか?
いずれにしてもそこで僕が思ったのは
「フフフ・・・かわいいやつめ・・・」
でした。三度して・・・
厳格な審査官ですら、このものごしのやわらかさなのです。軍人や警察官や審査官までやわらかなら、エストニア人ほぼ全員がやわらかな性格だと言って差し支えないと思います。
大人しいという点でフィンランド人もエストニア人に似ている。でもエストニア人はその性格がより色濃く残っている
-出かけたいけれど、同じマンションの住人が出ていくまで隠れて待っている。-
15 Finnish Nightmares That Every Introvert Will Relate To
http://themindcircle.com/finnish-nightmares-introvert-comics/
これはフィンランド人の人見知りな性格についてイラスト付きで面白おかしくとりあげた記事です。
これはエストニア人でも完全に同じです。むしろエストニア人の方がこの傾向が色濃く残っています。
僕はフィンランドと言っても首都ヘルシンキにしか行ったことはありませんが、おそらくフィンランド人の方がエストニア人よりもいくらか社交的であることはほぼ間違いないと思います。
-バスが「満席」で座れない-
バスが満席で座れないと書いていますが、よく見たら全部片側の座席が空いています。つまりみんな是が非でも他人の隣に座りたくないのです。
フィンランドを始め、北欧やバルト三国はとても広いパーソナルスペースを持つ人が多いです。
長距離バスの出発前なんて、隣に誰も座らないように良いポジションの席を取ろうと出発前に待ち構えている人がエストニアには居るほどです。
ただし、少々違いもあります。
フィンランドやラトビアでは公共交通機関で知らない人でもこちらに目を合わせて来ることがあります。
しかしエストニアではバスや電車で目配せをしてくる人はほとんど居ません。
このことからもエストニア人は北欧やバルト地域でも群を抜いて人見知りで大人しい性格だと言うことがわかるでしょう。
なによりエストニア人ほどフィンランド人もラトビア人もフワフワしていません。
エストニア人のフワフワ度は他国の追随を許しません。
「国連フワフワな国民性ランキング」があったらエストニアは間違いなく世界でも上位に食い込むことと思います。
とはいえエストニア人は排他的な訳ではない
人見知りなエストニア人ですが、とはいえ彼らは排他的だったり、ゼノフォビア(外国人嫌悪)だと言うわけでは決してありません。
これは僕の独断と偏見ですが、彼らはとても穏やかで綿毛のようにフワフワしているので、外国人に積極的にガツガツ絡みに行くエネルギーがあまりないような気がします。
特に絡みに行くモチベーションもないというか、いうなれば猫みたいな感じもします。
エストニアに行ったら是非おだやかな国民性を楽しんで
旅行や留学で日本からエストニアに行く人も徐々に増えてきていると思います。
最初エストニア人に会うと、無表情でそっけない人々に感じたりすることもあると思います。
もし最初そう感じても、いずれ現れる穏やかな彼らの笑顔を見逃さないようにしてください。
−さあ、あなたも今も残るムーミンが居る国エストニアへ。
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