こんにちは。

 

今回はNetflixで見た バグズ −昆虫食は地球を救うか− について感想を書きたいと思います。

 

 

虫を食べたことありますか?

 

あなたは虫を食べたことありますか? 私はありません。

 

 

エストニアのパルヌにある動物園でゴキブリを食べるよう勧められたことならありますが。

 

(ゴキブリを食べるよう勧められた時の押し問答が載った)過去記事

【閲覧注意】エストニアのパルヌで毒ヘビ専門動物園MiniZoo(ミニ・ズー)を運営するおじさん(食用ゴキブリオススメしてくる)に会ってきた。【バルト三国】

 

 

始めて昆虫食について知ったのはTEDだった

 

僕が昆虫食のことを始めて知ったのは数年前に見たTEDのとあるスピーチです。

 

このスピーチの内容は、「将来の人口爆発に備えてオランダ人が虫で色んな料理を作り始めたよ」という事例の紹介です。

 

このスピーチでチョコを小さな芋虫でデコレートしているのを見た時は卒倒しそうになりました。

 

しかし同時に「虫を食べないのは、ただの食わず嫌いかも知れないな」とも思うようにもなりました。

 

虫を食べることについて提案するTEDトーク

 

大変古い話ですが、むかし日本テレビの大人気番組でウッチャンナンチャンのウリナリというバラエティがありました。その番組の企画で今はヒルナンデスの司会でおなじみの南原清隆さんが発展途上国の部族のところに行って大きな芋虫を食べていました。食べる前こそ怯えた顔をしていましたが、一口かじると表情は一変「おいしい!貝の味がする!」と言い放ちました。

 

それを見て僕は衝撃を受けました。「虫、食べたら意外といけるかもしれへんな?」

 

その後も虫を食べる機会はありませんでしたが、ある時カエルの肉を食べてみると鶏肉と同じ味がしてとても美味しかったので、カエルと同じように虫も先入観で不味いと思い込んでいるんだけなんだとなおさら確信を深めました。

 

映画 バグズ(Bugs)は昆虫食について真剣に考える北欧のラボの若者を追ったドキュメンタリー

 

 

 

この映画は虫の食用化を追求して世界中を駆け巡る北欧の2人の青年を追ったドキュメンタリー映画です。

 

いきなりネタバレになりますが、この映画はドキュメンタリーでどんでん返しも特に無いインフォーマティブな内容なので、ネタバレ全開で書きたいと思います。

 

この映画のテーマは基本的に2つ

  1. 世界中で料理に使える虫を探す
  2. 世界の食料情勢とその中での昆虫食の意義について葛藤する

です。

 

まずは1つめのテーマ「何の虫ならおいしく食べられるのか?」について書いていきます。

 

僕は映画を見ながら気づけばメモを取っていました。それほど好奇心が刺激されたのだと思います。

 

 

芋虫(オーストラリア)

 

オーストラリアにいる何かの幼虫(映画の中で言及なし)、いわゆる芋虫を土から掘り返して焚き火で丸焼きにします。アボリジニのおばあさんが2人にレクチャーします。

 

オーストラリアの芋虫の丸焼き、気になるお味は

  • おいしい
  • 歯ごたえがある
  • ほんのり甘くてクリーミー
  • マカデミアナッツ・パプリカ・にんにくを混ぜたような味

オーストラリアの芋虫はおいしいということが分かりました。

 

 

蚊の幼虫とシロアリの幼虫(ケニア)

 

ユスリカという蚊の一種、幼虫はクッキーに入れるとおいしいそうです。

シロアリの幼虫もマフィンに入れるとおいしいそうです。

 

ケニアのユスリカとシロアリの幼虫はおいしいということが分かりました。

シロアリの女王アリはさらにおいしいそうです。もちろん女王アリを食べてしまうとシロアリの持続可能性を潰してしまうので配慮が必要です。

 

またこのシロアリの幼虫を食べた後にケニアで見つけた何かの芋虫をフライパンで焼いてマンゴーを添えるのですが、それが衝撃的にうまいということでした。

 

ちゃんと調理すればケニアの芋虫は衝撃的にうまいということが分かりました。

 

 

アリの卵(メキシコ)

diego_torres / Pixabay

 

アリの卵を生で食べていました。キャビアの味がしておいしいそうです。

トルティーヤに入れるととても美味しいそうです。

 

メキシコで採れるアリの卵は美味しいことが判りました。

 

 

ハリナシバチ(ウガンダ)

 

生で食べると魔法の泥から絞り出した蜂蜜のような味でおいしい。苦味と甘味。良いぶどうでつくったワインのような味わいでおいしい。

 

ウガンダで採れるハリナシバチはすごく美味しいことが判りました。

 

 

スズメバチ(日本)

umsiedlungen / Pixabay

驚いたことに、この映画の虫探しの旅で最後に向かう国は日本です。岐阜県と思わしき場所で2人はスズメバチを獲りに行きます。天敵のスズメバチまで食べられるって、人間って本当に屈強な生き物ですね。

 

2人は防護服を被ってアルコールを入れた瓶にスズメバチを叩き入れていきます。

 

串に挿して直火焼きにし、醤油や鰹節やごま油を使って味付けします。

 

試食した日本人男性によると「めちゃくちゃうまい。アメイジングや!」と高評価。

スズメバチですら日本人の口に合う味付けでめちゃくちゃ美味しく食べられるそうです。

 

この映画を見ているうちに僕はもう何でも食べられる気がしてきました。

 

 

おいしく食べられる虫はとても多い

 

というわけで、映画を見た結果、美味しく食べられる虫は実はとても多いということが判りました。

虫を日常的に食べている国だけでなく、日本でも、害虫かつ人間の天敵だと思われていたスズメバチをおいしく料理して食べられることが判ってしまいました。

 

 

昆虫食は受け入れられるのか?寿司も最初世界では気味悪がられていた

 

qimono / Pixabay

 

映画の中で日本が誇る寿司について言及されていました。寿司も最初海外では「魚を生で食べるなんてとんでもない!気持ち悪い!」という意見がとても多かったそうです。

 

僕が行ったエストニアやフィンランドでも寿司屋こそありましたが「生魚は本当に気持ちが悪くて自分は無理!」と面と向かって僕に言い放つ人にも出会いました。とあるサウナでフィンランド人の女子高生から「日本食はもう絶対食べない」と繰り返し言われた時は、(何だこのやろう?世界有数のメシマズ国家の癖によぉ!?)と心の中で言い返しました。ちなみにフィンランドをメシマズ国家と最初に言ったのは私ではなくイタリア人です。(責任回避)

 

でもそんなSUSHIのレストランはヘルシンキにもたくさんあります。今やSUSHIすら世界的に広がったのだから、昆虫食も同じように受け入れられていくはずだと劇中で2人は言います。

 

 

何のために昆虫食を推進するのか?

 

 

人口爆発に備えるため

 

そもそもなぜ昆虫食を推進するのかということについて、映画内でも何度か語られています。一般的に語られる昆虫食の意義は「将来の人口爆発に備えて虫を主要なタンパク源とする」というものです。

 

ところが2人はこの議論は間違いだと言います。なぜなら既に世界には120億人分のタンパク源が流通しているからだというのです。だからこれは別の問題、例えば地球全体の富の偏在や流通の問題で食料自体は十分あるにも関わらず必要なところに届いていないというのです。

 

こうなってくると昆虫食が人口爆発を解決するという訳では無さそうです。もっと別のところに問題があるのでしょう。

 

 

お金のため

 

これは実際に動機として大きそうです。登場人物の2人が昆虫食の展示会で企業の担当者と話しますが、その担当者が金の話をしているのを見てうんざりしてしまいます。

 

でも実際にネスレなどの大企業がお金のために昆虫食の大量生産にこぎつければ、昆虫食の普及と法整備に対して絶大なインパクトがあるのは確かでしょう。

 

ただお金が優先されると倫理的な問題にぶつかる可能性があります。例えば劇中で真夜中にバッタを摂っているアフリカの少年たち(児童労働!)がライトで視力に障害を負うといった場面が登場しますが、大量生産によってこのような倫理的な部分が蔑ろにされる懸念は大いにあります。乱獲で生態系に悪影響が出る可能性もあります。虫は地球上の生態系を支える重要な存在の一つなので、生態系に与える被害も甚大なものになります。

 

それに2人曰く養殖のものは天然のものと比べて味がかなり落ちるそうです。

 

お金を動機として始めた時に出てくる問題は、既存の畜産業が抱えてきた問題と全く同じだと思います。

 

豚や牛を虫に替えたら全部問題解決や!という訳では無さそうです。

 

 

食べるよろこびや健康のため

 

彼らは言います。お金もうけの話や昆虫食を現実を見ずに夢の食料として持ち上げるような人たちばかりで、もうそんな話はうんざりだと。

 

そして最後に彼らは言います。昆虫食を主要な食料に加えることで、食料システムや生態系を破壊することなく食を追求することが出来るのだと。

これはつまり、世界の食料の新たな選択肢として昆虫食が追加されることにより、生産から消費までの様々なプロセスの中に新しい組み合わせや新たな可能性が生まれ、より多様で柔軟な食のシステムをもたらすことが出来るということだと僕は思います。

 

 

昆虫食と日本

 

ここまで書いて思いましたが、よく考えたら日本も昆虫食べてますよね。イナゴの佃煮とか超有名ですし。ポピュラーではないけど。

 

前述の寿司にしてもそうですが、ちょっと意地悪な言い方をすると、昆虫食も元から欧米以外に存在した「食の多様性」を欧米人が再発見して大量生産化しているだけのような気もします(^_^;)

 

もちろんそれで食のバリエーションや可能性や新たな価値観が生まれるので個人的には大歓迎なのですが。

 

 

僕はこれからどうするべきか

 

映画を見終えて思ったことは、地球規模の食料の問題に対して自分自身ができることは現時点ではほとんどないと感じました。

 

それよりも日本でも入手可能な様々な昆虫を食べてみたいという欲望の方が大きくなりました。手始めにイナゴの佃煮から通販で購入してみたいと思います。ぐぐるとなんと1パック500円でした。とてもお手頃です。

 

完全に好奇心のみを動機として駆動していますが、まずは身近なところから始めたいと思います。好奇心ファーストで行きたいと思います。そうすることでゆくゆくは地球全体のことを考えることに繋がるでしょう。10年後世界中で「INAGO NO TSUKUDANI」が食べられるようになっていたら面白いですね。

 

この映画を見て良かったと思います。

 

この文章を書いている途中、ふと壁を見ると大グモが鎮座していました。

 

クモ嫌いの私は最初震え上がりましたが、しばらくして「ん? ちょっと待てよ・・・?」と思い直し、こう考え方を変えればクモはもはや怖くないと思いました。

 

「このクモ食べれるのかな?」